|今日からできるケアと受診の目安
赤ちゃんの頭を見て、「後頭部が平らになっている」「いつも同じ方向を向いている」と気になったことはありませんか。赤ちゃんの頭蓋骨は大人より柔らかく、同じ姿勢で過ごす時間が長いと、頭の形に左右差や後頭部の平らさが生じることがあります。
いわゆる「絶壁」や「向き癖」は珍しいものではありません。多くの場合、成長とともに頭を動かす時間が増えることで改善していきます。一方で、向き癖の背景に首の動かしにくさがあったり、頭の形の変形が強かったりする場合には、小児科などで相談することが大切です。

実は私も絶壁なんです・・でも何の不都合もありませんけど、なにか?
まずは、家庭でできる基本的な対策を確認しましょう。
赤ちゃんの頭の形・絶壁・向き癖対策のポイント
寝かせるときは必ずあおむけを基本にする
起きている時間は、見守りながら「うつぶせ遊び(タミータイム)」を取り入れる
赤ちゃんが向く方向を左右に分散させる
授乳・抱っこ・遊びの向きをできるだけ左右交互にする
チャイルドシートやバウンサーなどで長時間同じ姿勢にしない
首がいつも同じ方向を向く、反対を向きにくい場合は早めに相談する
頭の形が急に変化した、左右差が強いなどの場合は自己判断せず医療機関へ
ヘルメット治療は自己判断で始めず、必要性や時期を医師に相談する
特に重要なのは、頭の形を整えるために睡眠中の姿勢を横向きやうつぶせに変えないことです。厚生労働省は、医学的な理由で医師から指示されている場合を除き、1歳になるまでは寝かせるときにあおむけにするよう案内しています。
健康日本21アクション支援システム
なぜ「絶壁」や「向き癖」が起こるの?
赤ちゃんの頭蓋骨は、成長途中で柔軟性があります。そのため、後頭部の同じ場所が長時間圧迫されると、平らになりやすくなります。
特に、いつも右側を向いて寝る赤ちゃんであれば、右後頭部に圧力が集中し、左右非対称になることがあります。これを一般的に「向き癖による頭の形の変化」などと呼びます。
また、首の筋肉の緊張などによって首を片側に向けにくい「斜頸」がある場合も、向き癖が強くなり、頭の形に影響することがあります。頭の形のケアでは、単純に頭を左右に向けるだけではなく、赤ちゃんが首を左右に動かしやすい環境を作ることも重要です。
American Academy of Pediatrics
1.睡眠中は「あおむけ」を優先する
絶壁が気になると、「平らになっている部分を下にしないよう、横向きで寝かせたほうがいいのでは?」と考えることがあります。
しかし、頭の形を整えることよりも、安全な睡眠環境を優先することが大切です。
赤ちゃんを寝かせるときは、あおむけを基本にしましょう。うつぶせ寝は乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク上昇と関連しているため、頭の形対策を目的としてうつぶせ寝にするのは避けます。
厚厚生労働省
寝返りができるようになった赤ちゃんについても、寝かし始めるときはあおむけが基本です。寝返りを妨げないよう、寝床には柔らかい枕やクッション、ぬいぐるみなどを置かないことも重要です。
厚生労働省
2.起きている時間は「タミータイム」を
頭の形対策として取り入れたいのが、赤ちゃんが起きているときにうつぶせになる「タミータイム」です。
これは頭を床から離す時間を作り、後頭部への圧力を減らすだけでなく、首や肩、体幹を使う経験にもつながります。
ただし、タミータイムは必ず赤ちゃんが起きている状態で、大人がそばで見守りながら行います。眠ってしまった場合は、あおむけの安全な睡眠環境に戻しましょう。
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最初は短時間から始め、赤ちゃんの機嫌や発達に合わせて少しずつ時間を増やしていけば十分です。
3.向き癖とは反対側にも興味を持たせる
いつも同じ方向を向く赤ちゃんには、反対側にも自然と顔を向けたくなる環境を作ってみましょう。
たとえば、赤ちゃんが興味を持つ人やおもちゃを、いつも向いている側とは反対側に置きます。ベビーベッドなどで過ごす際も、部屋の中で見るものや人の位置を工夫すると、同じ方向への圧力を分散しやすくなります。
授乳や抱っこも、無理のない範囲で左右を交互にするのがおすすめです。
大切なのは、赤ちゃんの首を無理に動かすことではなく、自分から反対方向を向きたくなるようにすることです。
4.抱っこや遊びの時間を増やす
赤ちゃんが起きている間、ずっと仰向けで寝かせておく必要はありません。
抱っこをしたり、膝の上で遊んだり、見守りながら床で遊ばせたりするなど、姿勢に変化をつけましょう。
特に、チャイルドシートやバウンサーなど、頭の同じ部分に圧力がかかりやすい姿勢を長時間続けることは避けます。米国小児科学会も、移動時以外にチャイルドシートなどの座位保持器具を長時間使用しないことを、頭の形の変形予防策として挙げています。
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5.首の向きに左右差がないかチェック
「右は向けるけれど、左はほとんど向かない」「いつ見ても首が同じ方向を向いている」という場合は、単なる癖ではなく首の動かしにくさが関係している可能性があります。
向き癖が強い場合には、無理に首を伸ばしたり、自己流で強いストレッチをしたりせず、小児科などに相談しましょう。
必要に応じて理学療法士などによる運動療法が検討されることもあります。斜頸がある場合には、頭の形だけでなく首の動きも含めて評価してもらうことが重要です。
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6.「自然に治る?」と心配しすぎないことも大切
赤ちゃんの頭の形は、成長に伴って変化します。
特に、寝返り、ひとり座り、はいはいなどができるようになると、仰向けで後頭部が圧迫され続ける時間が減っていきます。米国小児科学会の資料では、位置による頭蓋変形は生後4か月頃に目立ちやすく、その後改善がみられることが示されています。
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そのため、少し頭が平らだからといって、すぐに特別な治療が必要になるとは限りません。
一方で、変形の程度が強い場合や、家庭で姿勢を工夫しても改善が乏しい場合は、医療機関で相談する価値があります。
ヘルメット治療は必要?
頭の形が気になると、「ヘルメットを使ったほうがいいの?」と考える方もいるでしょう。
ヘルメットによる矯正は、すべての赤ちゃんに必要なものではありません。一般的には、まず姿勢の工夫や運動療法などを行い、それでも変形が強く残る場合などに検討されます。特に変形が強いケースでは、専門医が治療の必要性や開始時期を判断します。
American Academy of Pediatrics
したがって、「絶壁だから必ずヘルメット」というわけではありません。頭の形の程度、月齢、首の動き、これまでの経過などを総合して判断します。
次のような場合は、小児科などに相談してみましょう。
頭の左右差がかなり強い
後頭部の平らさがどんどん目立ってきた
いつも同じ方向しか向かない
反対方向に首を向けるのを嫌がる
首を動かせる範囲に左右差がある
頭の形が左右だけでなく、前後にも特徴的に変形している
頭の形について「普通なのか判断できない」と不安がある
頭の形の変形には、寝る姿勢によるものだけでなく、まれに頭蓋骨の骨同士が早くくっついてしまう「頭蓋縫合早期癒合症」など、別の原因が隠れていることもあります。位置による変形なのかどうか判断が難しい場合は、専門家による診察が必要です。
American Academy of Pediatrics
まとめ
赤ちゃんの「絶壁」や「向き癖」は、多くの場合、日常の姿勢を少しずつ工夫することで改善を目指せます。
ポイントは、睡眠中の安全を犠牲にしてまで頭の形を優先しないことです。
寝るときはあおむけ。起きているときは見守りながらタミータイム。抱っこや遊び、授乳の向きを工夫して、同じ姿勢が長時間続かないようにする――この基本を意識しましょう。
そして、向き癖が非常に強い、首が動かしにくそう、頭の形の左右差が大きいなどの場合は、「もう少し様子を見よう」と抱え込まず、小児科などに相談することが大切です。
赤ちゃんの頭の形は、成長とともに変化していきます。毎日少しずつできる対策を取り入れながら、赤ちゃんの発達や安全を第一に考えていきましょう。
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